PART 14:自転車散歩

自転車散歩に関する賛否両論は別として、基本的に土の上を自由に走れる場所があり、十分な運動が出来るのであれば、あえて自転車散歩など必要ないのでしょうが、あいにく我が家は都内の街中にあるため、彼らの筋力を落とさないようにするためには自転車での散歩は欠かせません。
もちろん地面はアスファルトなので、足に負荷をかけないよう駆け足はご法度です。

都会では便利な自転車散歩ですが、よく「どうやって練習するのか?」と聞かれることが多いので、今回我が家の練習方法を書きとめてみました。
よろしければご参考までに。

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我が家では先住犬スコット(ハスキー)の頃から、お散歩は自転車で行っている。
と言っても、ダッシュするのではなく、速足でなが〜く走る。
何しろ飼い主がジョギング嫌いなので、長距離運動させるとなるとこれしかないのだ。

スコットが我家に来たときは、幸い前のオーナーさんが自転車で散歩していたので、特になんの苦労もなく自転車での散歩が出来た。
しかしかつての同居人はスコットと散歩に行くと、必ず転ばされると言って怒っていた。
なぜ転ばされたのか。
それは、スコットのトイレタイミングを無視していたからである。
オス犬はどうしてもマーキングをしようとするので、やりたい放題させておくと、人家の門や塀など、迷惑になる場所でも足は上げたい時に上げる。犬だから当然のことである。
しかし、それではいつも足を上げられている家はたまったものではない。しかも、いつ犬が止まるかわからないので気が気でない。
それならば人間の都合の良い場所に早めに止まってコマンドをかけてやれば、急に止まられて転ばされることはないはずだ。
というわけで、私はスコットと出かけるときは必ず、ある程度走ると土のある場所で止まって、「トイレは?」と聞くことにしていたので、一度も転ばされることがなかった。

さて、現在のパートナークリスには自転車散歩は一から教えた。
あっちこっち好奇心の向くままにグニャグニャ歩いていたお散歩デビューから3ヶ月経ち、体もしっかりしてきた7ヶ月目くらいから練習を開始した。
まずいつもどおり、クリスを左側に付けて、右手で自転車のハンドルのセンターを掴み、左手にクリスのリードを持って自転車を押しながら歩くのである。
最初は、「何それ?」と気にしていたが、家の前の私道を使って、毎日少しずつ歩いていたら次第に気にしなくなった。

私道で大分なれてきた頃、一般道に連れて出た。
交差点では「ストップ」、右に曲がる時は「ライト」左で「レフト」とその都度声をかけた。
歩いている時は、リードで軽く伝えればさほど困らなかった方向指示だが、自転車では左右のコマンドがわからないと車輪の前にかぶってこないとも限らない。
この3つのコマンドを完全に覚えるまでは、自転車は押して歩き続けた。

そしてコマンドもきちんと理解できたある日、そ〜っと自転車に乗ってペダルをこぎ始めた。
一瞬ペダルと一緒にぐるぐる回る私の足が気になったようだが、乗ったり降りたりしているうちに、自転車そのものを気にしなくなっていった。

さて、それから1年半、子供達が生まれて、こっちも一緒に自転車で行ければ楽だと考えた私は、彼らが生後半年ぐらいになってから、クリスと同じように、右手で自転車を押し、左手でリードを持つというように自転車に慣らしはじめた。
当然子供達2頭一緒は難しいので、クリスとハンス、クリスとニッキーというようにセットを変えて、交代で慣らしていった。

そして彼らが自転車を気にしなくなった時、3頭一緒に散歩に連れて出た。
隣に並んで一緒に走ることに慣れている子供達は、1頭増えていてもあまり気にしなかった。
ただ、3頭一緒にいると、子供達がお互いをけん制して先に行こうとしたり、お母さんが突然、「私だって負けないわよ。」と出てくることもあるので、速度は速足を原則としてリードを引っぱりすぎるようなときは自転車を止めた。
こうして何度か練習しているうちに、自然にそれぞれの場所が決まり、走りながら位置を変えることがほとんどなくなった。
基本的に一番左がニッキー、私のすぐ左横がハンス、そしてハンスの後ろがクリス母さんである。
いつもは我先に自己主張する母さんなのだが、なぜか自転車の散歩は一番うしろと自分で決めた。


ハンスとニッキー

<クリスが一番後ろにいるとき。>


3頭で自転車散歩

<3頭並んでいるとき(クリスは少し後ろ目)。>


振り返るハンス

<時々確認するように振り返るハンス>


また、幅をとりすぎて、すれ違いに支障をきたす時は、少しずつ自転車を犬の方に寄せていき、リードを後ろ手に持って縦列にし、スペースが出来たら犬から離れてまた元の順番に戻すようにする。
たまに、きつい坂などに遭遇した時は「ダッシュ!」と声をかけると、一気に駆け上がってくれるので私としては大変楽である。

そしてそれから8年半。3頭連れの自転車散歩は今でも続いている。
さすがに、若干遅れ気味のかあさんと一緒なので、更にスピードは遅くなって、ジョギングの人に抜かれていくことが多いが、ゆとりのない出勤前の朝の散歩には欠かせない。


最後に自転車ごとひっくり返されない予防策としては、まずトイレは済ませてから散歩にでる。
そして常にイヌの動向を確認しておくこと。
スピードは出しすぎない。
リードはいつも緩んだくらいで張らせない。すると何かの拍子にイヌがスピードを落としても、張った感覚になったらすぐ止まることが出来る。
マーキングをする可能性がある場合は、(なるべくマーキングは避けたいが)飼い主の指示で止まってからするというように習慣づける。
犬が興奮して飛んでいきそうなシチュエーションがわかっているような場所は迂回する。そのためには、イヌより早めに周囲の状況を把握するようにする(気の合わないイヌ、あるいは仲の良い友達が角を曲がってきたら、別のルートに変更するとか自転車を降りるなど)。
サドルをあまり上げすぎない(いつでも飛び降りられるように)。
リードを持つ左手はハンドルにあまり固定しない方がハンドルを取られないので安全。
※片手運転は推奨できないので、軽く支える程度に持っていると良いと思う。ただしその場合、右手がメインでブレーキをかけることになるので、出来れば右手のブレーキは後輪に差し替えておいたほうが安全である。前輪の場合、急ブレーキで前につんのめる可能性が大。

そしてもうひとつ。人も犬も慣れて大丈夫だと思っても、突発的なアクシデントはゼロではない。
突然ネコが飛び出してくる。通りかかった民家から急に雨戸を閉める大きな音がする。民家の二階から犬が吠え掛かってくるなどなど、予想していないことが起こることがあるので、くれぐれもご注意を怠りなく。

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以上がクリ家の自転車散歩です。
自転車散歩には賛否両論あると思いますが、それぞれのライフスタイルにあったやり方で楽しんで下さい。
歩いていくより行動範囲が広がり、新しい発見もあるかも知れません。

※上記の自転車引きはサイクルドッグなどのスポーツとは異なります。スピードを出すわけではないので、あえてハーネスではなく首輪を使っています。ハーネスでは止められない可能性が若干あるからです。
基本的に「ストップ」や左右に曲がるコマンドが完全に入っていれば首輪にこだわることはないと思いますが、飼い主さんの判断におまかせします。


2008年6月25日
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