Part 6:クリスの出産と子育て | ||||||||||||||||||||||||
その3 クリスの子育て | ||||||||||||||||||||||||
子供達がみんな無事に生まれ出た頃には、外はすっかり明るくなっていた。 クリスも含め、ワン達を一階の居間に置いてある産箱に移す。特大のバリケンはちょうど良い大きさで、クリスもやっと落ち着いた様子。チビたちのお尻の世話も上手にしている。 チビたちは目覚めれば我も我もとクリスのおっぱいを求めてはい回り、お腹がいっぱいになると思いっきり寝るといった幸せな生活を送っている。クリスは適当に産箱から出たり入ったりしながら、満足げな様子であった。 その日の夜、もう一頭の女の子は予定通りアリスとなり、4日後にはクリス似の男の子はTAMAI君と呼ばれることになった(オーナーさんのお宅で名前が未だ決まっていなかったから)。あとは、友人の知り合いが男の子の予約を入れていたので、VIVIか白玉君のどちらかになることは分かっていたが、多分VIVIに違いないだろうと思った。VIVIはボーダーらしいキレイな柄だが、白玉君はどう見ても顔が白すぎて、世間一般で想像する(とはいえ、当時私は一度もペットショップでボーダーコリーを見たことはなかったが)ボーダーとはほど遠かったらしい(実際、外に連れて出るようになった頃、彼は会う人会う人みんなに「牛みたいなだね」とか「パンダみたい」と言われ、対象物は変わったものの、ボーダーコリーと認知した人はいなかった)。ホントにこの子は望まれて引き取られていくだろうか。偏見と呼ばれるかも知れないけれど、私は心配だった。やけに頭が大きすぎて不格好なこの子が果たして幸せになれるだろうか......。出来の悪い子ほど可愛いと言うが(現時点で出来の良し悪しはわからないので、見た目だけだが)やっぱり心配になってしまった。そんなとき不良息子が、「こいつは俺の犬にする。」と言ったのである。そして白玉君はハンスと名付けられた。果たして君はアイツの心の友になれるだろうか? (VIVIはその後キャンセルとなり、里親探しがいかに大変か思い知らされるのであるが、その時はまだ知らない) チビ達の行き先が決まるとやはりホッとするし、ウチの子よりちょっぴり気を遣ってしまう。もちろん、クリスは分け隔てなく育てているが、そんなクリスも疲れが出たのか2日後の深夜からお腹を悪くして4回もトイレに行くハメになった。大分暖かくなってきたから良いようなものの、これが真冬の事だったら、夜中にパジャマで4回も庭に出て、なが〜いトイレにつきあわされた私は風邪をひいたことだろう。1日たってやっとよくなったかと思うのもつかの間、更に2日後、また夜中に起こされ、今度は5回も付き合わされた。寝不足だ〜。 お腹が元通りになったのは産後1週間たってからのことだった。 その頃にはチビ達の目がうっすら開き始めた。最初はニッキーとVIVIで、青い目でボーッと見ている。多分未だ見えてはいないのだろう。TAMAI君がつづいて両目をあけ、5月16日にはみんなの目が開いた。 5月22日、この頃になると、子供同士で噛んだり、唸ったりしながら遊ぶようになり、本気で喧嘩をしているようだ。 5月24日、アリスとニッキーとVIVIがしゃがんだような格好でオシッコをした(今迄は腰がもちあがらなかった)。 その晩、またまた、クリスのお腹の具合が悪い。なんでいつも夜中なんだよ〜。 翌日、子供達にミルクを70cc程お皿で飲ませてみる。アリス、VIVIとTAMAI君が飲んだ。ウチの子達はおっかなびっくりで側に寄らない。 5月26日、大きめの皿に朝、昼、晩300ccずつミルクを入れてみる。今度はみんなで一気に飲みほした。その間クリスは2回ほど授乳したが、爪が痛そうだったので、夜2度目の爪切りをした(昔、爪は夜切っちゃいけないって言われたっけ)。 ハンスとアリスがしゃがんでウ○チをした。 5月27日、早朝から全頭文句の言いっぱなしでとても眠れたものではない。お腹がすいて大騒ぎをするのだが、クリスがさっさと産箱から逃げ出して、私のベッドで寝ているのでちっとも泣きやまない。そのうち産箱の出口をふさいでいる箱を頭突きしながら押しのけて出て来て、寝室で大暴れを始めてしまった。今晩からはみんな居間のサークルの中で寝るんだよ〜。 今日から離乳食を始めることにする。ミルサーで粉砕したパピー用のフードにお湯で溶いた粉ミルクを混ぜる。初めは、ん?という感じであったチビ達も、夕食は全部たいらげてしまった。 5月31日、サークルの中での生活はだんだん物足りなくなってきたのだろう。狭い中で組んずほぐれつのとっくみあいを始めた。益々うるさくなってきたので、食事時以外はサークルの外に出すことにした。ヒェー、大変だ!あっちでオシッコ、こっちでウ○チ。あ〜、踏んじゃダメ〜!こりゃ〜目が離せないわ。 居間の3箇所にトイレシーツを置いて、動かないようにガムテープで固定した。 しゃがみ始めた子を見つけては、「オシッコしてるの〜。」「そ〜、ウ○チなの〜。」と連呼しながら、始末してまわった。 6月1日、居間に放し飼いにしたまま1時間ほど留守にした。帰ってみるとオシッコは全部シーツの上にしてあった。 チビ達は部屋中走り回って遊ぶようになった。かなりのパワーである。しかも、あちこち噛み始めた。ピラニアのようである。最初の標的は私のスリッパだった。
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