Part 6:クリスの出産と子育て
その1 クリスのお見合いと出産前夜。
 クリスと暮らし初めて1年半ほどたった頃、「クリスの子供がほしいかなぁ」なんてちょっと頭をよぎったのだが、実際に出産させようという考えには至らなかった。というより、私にはできないだろうと思っていたからだ。
 しかし幸か不幸か私の身近のワン友達のなかで3家族までがみな自分の家での出産経験があり、いつも母子連れ立って仲良く散歩させている姿を見ると、「クリスも一頭じゃ寂しいかなぁ」と漠然とした思いが時折頭をもたげていた。
 そんな時、いつも散歩で会う友達が「クリスがもし出産するなら1頭譲ってくれないか」と言ってくれたので、少しずつこの漠然とした夢が現実めいたものになってきた。諸事情を考えると次回のシーズンをのがしたら多分そういうチャンスは巡ってこないだろうと思い、翌年の春に実行することになった。

 1999年2月半ば、クリスのシーズンがやってきた。ブリーダーさんとお相手について相談する。候補は3頭いたが、1頭はショーを目前に山梨で合宿中。1頭はどちらかと言えば多産系、私一人では万が一の時(沢山生まれたら)手が足りない。そこで、残りの1頭とあいなった。彼はオーストラリアから来たフルカラーのショードッグで大人しくて、人間にはいたってフレンドリー、地味目でおてんばのクリスにはぴったりである。そこで、2月26日、28日、駄目押しに3月1日の3日間お相手のお家に通ってお見合い結婚という運びとなった。(この時のことは皆様のご想像にお任せします)
                
 それからのクリスはとりあえず、激しい運動は避け、お散歩は歩いて1時間くらい。

 3月25日、係り付けのお医者様で触診。まだちょっとわからない。
 3月31日、超音波設備のある病院で診察。おめでたと判明。確実なところは3頭。やったねクリちゃん!
 その後は、だんだん日常の運動に近づけ(飛んだり跳ねたりは、やはり心配でやめていた)、なるべくお産が軽くなるようにと(人間みたいだな〜)気を配った(豆でも拾うかい?今の人じゃわかんないか.....)。
 
 最初の交配日で換算すると4月末が予定日のはずだが、その気配はない。
 5月2日、居間のソファで巣作りを始める(隅の方をガンガン掘っている)。せっかく用意した産箱(特大のバリケンの下半分)には入ってくれない(借り物だからかな〜)。が、しばらくするとまた掘るのをやめて知らん顔。オイオイとっくに予定日はすぎてるぞ〜。
 5月3日、クリスの食欲がなくなる。いよいよですか〜。獣医さん曰く、「今晩か、明日でしょう」。クリスのブリーダーさんも心配して夜見にきてくれるが、時々巣作りはするものの、すぐ止めてしまう。ブリーダーさんも10時ごろには帰られた。ビデオもなにもかも準備万端整っているのに、やはりまだのようだ。結局11時すぎには寝室に上がって寝ることにした。しかし、寝ようとすると、クリスがベッドから降りて、寝室のあっちこっちで巣作りをする音がする。ガリガリガリ。ザッザッザッ。ガリガリガリ。ぜんぜん眠れないじゃないか。
 4時ごろ、落ち着きのなかったクリスがやっとベッドで横になった。あ〜、これでやっと眠れる。その時だった。「キュ〜、キュ〜」うっそ〜!!

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