北京冬季五輪

上初の夏冬五輪大会を開催する北京
 2022北京冬季五輪の開催で、北京は、オリンピック史上初めて夏と冬両方の五輪を開催する都市となる。  
 習近平政権は、中国の威信をかけて冬季五輪の招致活動に破格の15億ドル(約1600億円)を投入、2008年夏季大会の開催経験や財政力を前面にアピールして、44票を集め、40票のアルマトイ(カザフスタン)を僅差で振り切って勝利した。  大会では15競技、109種目が行われ、北京市中心部で氷上競技の大部分を、市郊外の延慶と張家口で雪上競技が開催される。91の国と地域から約2900人の選手が参加する。  開閉会式は、2008年夏季大会で建設した「鳥の巣」を再び使用し、「水立方」の愛称を持つ国家水泳センターでカーリングを開催し、バレーボール会場でフィギュアスケートを行うなど既存の施設を活用する。  
 北京大会の最大の問題点は、雪不足。候補都市を事前に評価するIOC評価委員会は、降雪が少なくほぼ全てを人工雪に頼る計画に懸念を示していた。数千トンもの人工雪を作る機械に頼ることになると指摘されていた。競技会場となる張家口や延慶は気温は低いが、積雪少ない地域、暖冬に見舞われると円滑な大会開催は絶望的になる。  
 五輪の開催期間は2022年2月 4 日~20日の17日間。中国の春節(旧正月)の時期と重なる。観客や学生ボランティアを動員できるのがその理由という。

Source IOC
大会開催理念は“Green”+“Tecnology” 5G+4K/8K+AIを掲げた「科学技術オリンピック」

 北京冬季五輪2022大会のスローガンは、“Together for a Shared Future”、そしtげ開催理念として、環境保護を重視する“green, inclusive, open and clean”を目指す「グリーンオリンピック」、5G+4K/8K+AI technologyを導入する「科学技術オリンピック」を掲げる。
 「グリーンオリンピック」の公約の証として、すべての会場は再生可能エネルギーで電力100%を供給し、風力発電と太陽光発電(PV)システムによって発電するとしている。
 「科学技術オリンピック」では、すべての競技会場や北京と結ぶ高速鉄道で高速・大容量の移動通信、5Gネットワークを整備し、4K/8K放送を大規模に開始、AIロボットを導入するなど北京冬季五輪を先端技術のショーケースとする。 北京と延慶、張家口を結ぶ京張高速 最高時速350km

史上最多の15競技 109種目を開催 新種目は7つ
 北京2022オリンピック冬季競技大会では15競技109種目が12の競技会場で行われる:バイアスロン、ボブスレー(スケルトンを含む)、カーリング、アイスホッケー、リュージュ、スケート競技(フィギュアスケート、ショートトラック、スピードスケート)を含む)、スキー競技(アルペンスキー、クロスカントリースキー、フリースタイルスキー、ノルディックスキー・コンバインド、スキージャンプ、スノーボードを含む)。
 新種目は女子モノボブ(1人乗りのボブスレー)、男女フリースタイルスキービッグエア、フリースタイルスキーエアリアル混合団体、スキージャンプ混合団体、スノーボードクロス混合団体、ショートトラック混合リレーの7種目。
 北京2022は出場選手の男女比率が最も均等に近い冬季オリンピックとなる見込みで、女子選手の参加比率は平昌2018の41%から45%以上に増加する。
 開会式・閉会式やスケート競技は北京で、アルペンスキーとそり競技は延慶の小海坨山、その他の雪上競技は河北省の張家口で開催する。

12の競技会場 選手村、IMC/IBCなど39の五輪施設
 競技会場は、北京市内と延慶(Yanqing)、張家口(Zhangjiakou)の3つのクラスターを設けて12会場を整備した。 北京クラスターでは、面積8万平方メートル、1万2000人収容の巨大なスピードスケートセンター、「氷絲帯」(氷のリボン)を新設し、五輪大会のシンボルとした。その他は2008北京夏季五輪大会の競技場を再活用して、「鳥の巣」では再び開閉会式の舞台となり、バレーボールが行われた「首都体育館」はフィギュアスケートとショートトラック、水泳場の「水立方」はカーリングの会場、バスケットボール会場だった五棵(木へんに果)松体育館はアイスホッケーの会場に改築し。開催経費を抑える姿勢も示した。北京クラスターの7つの競技場の内、5競技場はレガシー施設の再利用である

「氷絲帯」 スピードスケートセンター Source Bejing20220

 万里の長城の近くのスキーリゾート地、延慶クラスターには、国家アルペンスキーセンターと国家スライディングセンターや選手村、山岳IMC/IBCが建設された。延慶かさらに奥に入る張家口クラスターでは、ジャンプ、クロスカントリー、複合、バイアスロン、フリースタイルスキー、スノーボードの雪上6競技が行われ、選手村、山岳IMC/IBCも建設される。

 

 

延慶(Yanqing)クラスター Source Beijing20220

国家スライディングセンター 延慶(Yanqing)クラスター 出典 Beijing20220

ジャンプ台 張家口(Zhangjiakou)クラスター Source Beijing20220

アルペン競技場 張家口(Zhangjiakou)クラスター Source Beijing20220

⇒北京冬季五輪2022 競技会場 最新情報 北京ゾー ン
⇒北京冬季五輪2022 競技会場 最新情報 延慶ゾー ン
⇒北京冬季五輪2022 競技会場 最新情報 張家口ゾーン

北京五輪エグジビションセンターを訪れた習近平主席 出典 Beijing2022

北京五輪の最大のアキレス権 人権問題 ボイコットの動きも
 2月3日、開幕1年前を迎えて、世界ウイグル会議(WUC)や国際チベットネットワークなど世界各国の約180の人権団体などが中国における人権問題を理由に大会をボイコットするよう各国首脳に呼び掛けた。「五輪が悪用され、中国政府によるおぞましい人権侵害や弾圧がエスカレートする」としていると訴えた。
 昨年10月、ドミニク・ラーブ英国外相が、中国による新疆ウイグル人への迫害の証拠が増えた場合、北京冬季五輪不参加の可能性を示唆した。
 ラーブ外相の発言を受けて、米ニューヨークの国連で開かれた人権議で、英国やドイツ、豪州、日本など39カ国が中国の人権問題を批判する共同声明を発表、アメリカの連邦議会では、共和党の7人の上院議員が中国でのオリンピックの開催に反対する決議案を提出した。
 中国に対しては、新疆ウイグル自治区問題だけでなく香港での民主派弾圧などで国際社会から厳しい批判が浴びせられている。
 周近平政権の冬季五輪開催で世界にプレゼンスを誇示するという戦略に人権問題という壁が立ちはだかっている。

北京五輪の最大のアキレス権 人権問題 彭帥選手 “外交的ボイコット ”

What's News! 中国外務省開会式に出席する各国首脳・高官 32人のリスト発表
 1月28日、中国外務省は、2022年の北京冬季オリンピックに参加する各国首脳や高官のリスト、32人を発表した。
 北京冬季五輪2022のリストでは、ロシアのプーチン大統領を始め、エジプトのシン大統領、カンボジアのシハモニ国王、シンガポールのハリマ大統領、カザフスタンのトカエフ大統領、ポーランドのドゥダ大統領、アルゼンチンのフェルナンデス大統領、エクアドルのラソ大統領、サウジアラビアのムハンマド皇太子、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド皇太子など中東やアジア、ラテンアメリカ諸国が占める。
 2008年北京夏季五輪の開会式には、当時の米国大統領ジョージW.ブッシュ、英国首相ゴードンブラウン、フランス大統領サルコジ、オーストラリア首相ケビンラッド、日本の首相福田康夫など欧米主要国の指導者が多数出席した。 しかし、14年後、これらの西側諸国首脳の全員が欠席する。
 中国外務省は、「彼らが来るかどうかは誰も気にせず、北京の冬季オリンピックの成功に影響を与えることはないだろう」と述べた。