シーズンが終って1ヶ月経った頃、クリスは旅先で急に食欲を落とした。環境の変化かと思っていたが、帰ってきても元に戻らず、またいつものわがままかと思っているうちに更に4日がすぎ、さすがに心配になって仕事の帰りにかかり付けの病院に連れて行った。
血液検査では白血球が通常の二倍(およそ20,000)、尿中のpH値が高く、比重が逆に低い。熱は39.3度とやや高い。レントゲンも撮ってもらったが、明確な原因はわからなかった。
翌日は休みだったので、一日様子をみていたが、やはり元気はあまり無い。が、ボーダーの悲しい性、楽しいことには目がなく、遊びたくなると途端に元気が盛り返してしまう。
ところがその晩から更に水分摂取量や尿量が増え、とうとうごはんもほとんど食べなくなってしまった。
翌日獣医さんの紹介で、超音波の専門の先生に診ていただき、子宮の腫れ具合から、子宮蓄膿症も疑われると診断。私の次の休みを待っていると悪化する可能性もあると共に、このままごはんを食べなかったら体力もどんどん落ちていくと思われ、翌日手術を受けることを決意した。
そして月曜日、食欲が落ちてから10目の午後、子宮・卵巣摘出手術を受ける。
術後獣医さんからの連絡で、手術は無事成功したと聞いたが、その日に連れて帰るのは無理かもしれないと言われる。点滴がはずせそうもないのと、クリの心拍数がやけに少ない(徐脈)ので、もうしばらく様子をみた方が良いだろうということになったのだ。
会社からの帰り道再度連絡をいれたところ、やはり入院を優先することに決まり、病院に向かう道からUターンして帰宅した。
晩年椎間板ヘルニアの手術を受け、手術は成功したのに、翌日急変して逝ってしまったスコットのことを思うと、会いに行くべきかとも考えたが、面会すればきっと彼女は帰れるものと喜んでしまい、それがかなわなければ余計ストレスになると考え、あえて顔を見ないで帰ってきた。
そして翌日、病院でごはんも少し食べられ、お散歩も出来るところまで回復したクリを夜迎えに行った。
病院で摘出したクリの子宮を見せてもらった。フランクフルトのように大きくなった子宮に傷をつけると、中から黄土色の液体が出てきた。膿だそうだ。診断結果はやはり子宮蓄膿症。手遅れにならずに良かった。
早く帰ろうとするクリに引っ張られるように帰宅。やはり傷口が気になって舐めてしまうので、しばらくエリザベスカラーははずせそうもない。
その晩は病院で夕方ごはんを食べたと言っていたが、子供達のごはんの時間に彼女もごはんをちゃんと食べた。ゆっくりだったが、最後までちゃんと舐めて食べ終わった。食欲がなくなって11日目のことだった。良かった。
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