食の都庄内 庄内浜 庄内平野 出羽三山

晩秋の月山 筆者撮影

食の都庄内

庄内の美田を支えるの月山から流れる豊かな水 田植えの頃、雪解け水が田んぼを潤す


 

「食の都庄内」を掲げて地域おこし
 山形県の庄内地域は、自然、伝統、文化等のあらゆる要素がバランス良く整い、これらがもたらす多彩な“食”に恵まれた地域とされている。かつてはササニシキで日本で有数のコメの産地として名をはせた。最近ではだだちゃ豆が全国的に有名になる。
 庄内地域には、美田の広がる庄内平野、海の幸をもたらす庄内浜、そして山の幸をもたらす出羽三山があり、平野、海、山の豊かな自然に恵まれた土地柄である。「食の都」を掲げるには格好の自然条件が備わっている。
 そして重要なのは、その風土にあった作物を伝承し、新たに取り入れ、その価値を高めるため、絶え間ない工夫や努力を重ねてきた“人”にも恵まれた。
山形県庄内総合支庁では、庄内の多彩な食材と豊かな食文化を活し、食を起点として、農林水産業、食品産業、観光業をはじめとする地域産業の活性化を進めていく「食の都庄内づくり」の取組みに力を入れている。

(1)庄内の食材にこだわる料理人を「食の都庄内」親善大使として委嘱し、庄内の食材の素晴らしさを、料理を通じて地域内外へ伝える。
(2)庄内産食材の認知度向上と販路拡大を図っていくとともに、庄内地域の情報発信や観光と連携した取組みを通して交流人口の拡大を図る。
(3)庄内の食材は特別なものとの認識の広がりや、庄内が食を目的に訪れる地域になるなど地域自体の付加価値が高まることを目指した「食の都庄内」のブランド化を進める。
 「食の都」の今後の展開が楽しみだ。

 

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庄内浜 湯ノ浜と鳥海山   出典 旅東北

庄内浜 由良漁港   出典 Gradle荘内銀行

 

庄内浜ののどぐろ  以下出典 庄内ざっこ

のどぐろ

 式名称はアカムツ。
 「のどぐろ」という呼び名はもともと日本海側の北陸・山陰地方で使われていたが、人気の広がりとともに全国に浸透し、現在では正式名称より有名な呼び名となった。 のどぐろは、水揚げが少ないうえに年による漁獲量の変動も大きいので、価格も高く高級魚とされている。
とても脂がのっている魚で「白身のトロ」と称されることもある。
味はコクのある味わいで、焼いても煮ても美味。
グルメ番組で盛んに取り上げられ人気が急上昇。

口細カレイ 出典 庄内ざっこ

口細カレイ

 庄内の港では一年を通して、さまざまなカレイ類が水揚げされる。マガレイ、マコガレイ、イシガレイ、ヤナギガレイ、メイタガレイなど、およそ20種類にも及ぶ。その中で、庄内の特産は、なんといっても「口細カレイ」と呼ばれるマガレイ。口元が小さいことから地元では「口細カレイ」と呼る。太平洋側のものと比べるとやや小ぶりだが、肉厚で旨味が濃いのが特徴だ。
「口細カレイ」は春と秋が旬だが、庄内浜は7~8月が底引き網禁漁期間にあたり、その間にたっぷりと餌を食べて脂がのった秋のカレイが最も美味しいといわれている。
カレイは煮付けが一般的だが、庄内では「素焼き」が定番。慶弔や宴の席に欠かせない「ごっつぉ(おかず)」だ。
焼きたてホクホクの身に大根おろしを添えてどうぞ。
鶴岡市の由良、三瀬、小波渡地区は庄内浜でも特に美味しい魚が獲れることで知られている。なぜか、科学的に解明されているわけではないが、磯浜で海底が砂や石であるために海水がきれいなこと、沖では海底から泡が立ち上っているところがあり、真水が湧き出ていると思われることから、餌となるプランクトンが豊富なことがあげられる。また地形による潮流や波が及ぼす影響などもあるという。

サクラマス 出典 おいしい山形

サクラマス

 庄内に春の訪れを告げる魚、サクラマス。実は渓流釣りで人気のヤマメと同じ魚である。川で孵化して成長とともに海へと下り、オホーツク海や日本海を回遊した後、産卵のため川へと再び戻ってくる降海型がサクラマス。海へ下らず一生を川で過す陸封型がヤマメである。
 サクラマスは1年半ほど河川で過ごし春に海へ降り、約1年の海での回遊の後、翌春に母川に遡上する。
 サクラマスは山形の県の魚にもなっている。
 庄内地方では昔から、春の祭りに欠かせない「ご馳走」として親しまれてきた。春近くなると産卵のため、その名のとおり体を桜色に染めたサクラマスは川をめざして集まってくる。サクラの咲く頃に再び川に帰ってくるので、サクラマスと呼ばれる。脂ののったサクラマスはのおいしさは、庄内浜の春の魚の中で最高の評価を得ている。
 サクラマスのほとんどは日本海沖合のマス流し網漁などで漁獲されるが、最上川、赤川などの川を遡上してきたものは「川マス」と呼ばれ、焼けば滴り落ちるほど脂がのった味の良さは、別格といわれている。漁獲量が少ないこともあって高値が付くが、地元ではとても人気の高い魚である。
 日本海では、南部がサクラマス、北部がカラフトマスが漁獲される。昔から、一本釣りや曳き網で漁獲されていたが、流し網や延縄(はえなわ)漁にとって代わった。漁期は3月1日に解禁され、庄内浜では酒田港と加茂港が漁港として指定されている。河川での漁は、3月1日ないし4月1日に解禁される。最上川河口周辺では毎年4月1日から5月31日まで漁が行われる。

マス焼き 出典 やまがた観光ナビ

庄内浜の岩牡蠣  出典 庄内ざっこ

岩牡蠣

 庄内地域でとれる牡蠣は岩牡蠣。秋から冬が食べ頃となる真牡蠣(まがき)とは、全く別のもの。味も見た目(形や大きさ)も違う。
岩牡蠣は夏にたっぷりと体に栄養を蓄えます。そして8月下旬ごろになると産卵のため徐々に身がやせていくので、6月から8月中旬くらいまでの夏の時期が一番の食べ頃になる。
 名産の岩牡蠣を育むのは鳥海山の伏流水だ。
 庄内浜の北方にそびえる霊峰、鳥海山では、ブナ林から地中にしみ込んだ雪解け水がいくつもの湧水となって麓の地表に表れ、庄内浜の海底に豊富なミネラルを含んだ伏流水となって湧き出している。岩牡蠣の餌となるプランクトンは、海水に伏流水の冷たい真水が混じることで豊富に発生するが、庄内浜の岩牡蠣は、この豊富な餌をふんだんに食べているため、大きくぷっくりと育つという。
 岩牡蠣が獲れるのは、遊佐町から酒田市、鶴岡市の波の荒い岩場など。漁は酸素ボンベなどを使わない素潜りで行われる。とりわけ遊佐町吹浦の岩牡蠣は絶品とされている。

夏の庄内浜名物 スルメイカ 出典 おいしい山形 

スルメイカ

 スルメイカ漁は、現在山形県の基幹漁業で、酒田や由良をはじめとする庄内浜での水揚高は、数量・金額共に全魚種中トップ。漁は、夜間にまぶしい光を発する集魚灯をつけ、光によってきたスルメイカを疑似餌のついた針で釣る。
 漁期は4~12月だが、最盛期は5~7月であることから、別名夏イカとも呼ばれる。他にヤリイカも獲れるが、こちらの漁期は1~5月で、両方合わせると一年中イカが獲れる計算になる。
 藩政時代、ほとんど米のとれなかった飛島の年貢はスルメで、寛文年間には約十万枚ものスルメを藩に納めたという記録も残っている。
 刺身、天ぷら、塩辛、一夜干、煮物と様々な料理に使われ、特に新鮮なものは、刺身にすると甘みと歯ごたえが良く、美味。これらを楽しみに浜の宿を訪れる人も多い。
 新鮮なうちに開いて干し、青空と太陽の下でやわらかく滋味たっぷりに仕上がる一夜干は、庄内浜の夏の風物詩となっている。

ハタハタ  出典 庄内ざっこ

ハタハタの湯上げ

 ハタハタはうろこのない淡白な味わいの魚で、庄内地方の秋の味覚として親しまれている。ハタハタは寒くなると産卵のために庄内浜にやってくるので、ハタハタ漁は晩秋から冬にかけての風物詩の一つ。海が荒れて雷鳴がとどろく時に大群で浅瀬に押し寄せるので”雷魚”という別名もある。
昭和の終わりごろから平成にかけてハタハタの漁獲量は激減したが、山形県の漁業者が協力して漁獲規制と資源の管理をおこなったため、現在は復活した。
庄内地方のハタハタ料理の定番は、なんといっても「ハタハタの湯揚上げ」、鍋でゆでたハタハタに大根おろしを添えて醤油で食べる。しょうが入れても美味しい。10月から11月に獲れるハタハタはブリコや白子を楽しめる。
ほかにも、煮付けや干物、揚げ物などハタハタ料理のバリエーションは多種多様。庄内地域の伝統行事とも深く関わっており、12月9日に行われる行事「大黒様のお歳夜(としや)」では、ハタハタを「味噌田楽」にして食べる風習が残っている。

大黒様のお歳夜 手前が「ハタハタの味噌田楽」 出典 食の庄内

ズワイガニ  出典 庄内ざっこ

庄内浜の冬の味覚ズワイガニ

 庄内浜のズワイガニ漁は、全国に先駆け一ヵ月早い10月に解禁され、翌年4月まで続く。荒波の冬の庄内浜の冬を代表する味覚である。
とりわけ鶴岡市由良地区で獲れる天然ズワイガニの雄は「芳がに」と呼ばれで高値で取引される。身入りが良く、おいしいミソを持っていることが特長だ。
 メスは「メガニ」と呼ばれ、小ぶりではあるが、内子や外子と呼ばれる卵をたくさん抱えており、料理人などの間で人気が高い。
 大ぶりなズワイガニは、何と言ってもしゃぶしゃぶで食べるのがオススメ。脚の身をだし汁で軽く火をとおすと花が咲いたように身が開き、これをカニみその甲羅焼きに付けて食すのが通の食べ方。
 家庭では、メガニをそのまま味噌汁にするのが庄内での一般的な食べ方。
プチプチの内子の食感や濃厚なミソが絶品である。
 庄内浜の底びき漁の漁師達は、厳冬の大荒れの日本海に出る。その姿を思い浮かべて、ズワイガニを食せば、味も格段に旨く感じることだろう。

甘えび   出典 庄内ざっこ

いまや庄内を代表する夏の名産 だだちゃ豆

だだちゃ豆   出典 庄内ざっこ


だだちゃ豆は、山形県鶴岡市郊外の白山(しらやま)地区で生まれた「枝豆」。山形県鶴岡市でしか栽培されない特産品。  旨みと甘みが強く、噛むほどに味わいが増すだだちゃ豆は「枝豆の王様」とも呼ばれるようになった。  「だだちゃ」とは庄内地方の方言で「お父さん」のことを言う。枝豆好きの殿様の逸話から、いつしかこの地区で採れる枝豆は「だだちゃ豆」と呼ばれるようになったと伝わっている。

⏩だだちゃ豆 秘話

庄内の春の山菜の名産 月山筍 孟宗 蕨 右下は月山筍汁  出典 やまがた観光ナビ

孟宗汁と筍御飯 孟宗汁は厚揚げとしいたけを入れて酒粕、味噌仕立てでじっくり煮込む 出典 やまがた観光ナビ

月山筍 春先の名物 竹の子汁にすると美味

月山筍  出典 食の庄内

月山筍とは、山形県の中央にそびえる出羽三山の主峰「月山」の標高1000メートル以上の高地に自生する幻の天然根「曲がり竹」を指すカリカリ・サクサクとした食感と、癖のない透明感溢れるみずみずしさが特徴。
高地に自生する天然の月山筍を採るのは難しくプロの採取人は数えるほどしかおらず流通量が少ないことから、貴重な食材になっている。


芋煮も見逃せない郷土料理   出典  食の庄内

 山形の郷土料理の代表、芋煮は、内陸(山形市周辺)と庄内では大きく違う。内陸は主に牛肉で醤油味、庄内地方は豚肉で味噌味、そして最大の特徴は「酒粕」を入れることだ。「酒粕」で、なんとも言えない濃厚なコクのある味と風味が出る。味噌と「酒粕」の相性は絶品である。

そして欠かせないのは庄内の酒  出典  庄内ざっこ


冬の庄内浜は寒鱈を使ったどんがら汁 一度は味わって欲しい一品

どんがら汁に欠かせない寒鱈のしらこ  出典  庄内ざっこ

どんがら汁 出典 おいしい山形



筆者のいちオシ 海鮮料理店 鶴岡

庄内 ざっこ


山形県庄内地方鶴岡市にある郷土日本料理店。地元庄内浜で水揚げされた新鮮な旬魚を贅沢に使った逸品の数々が自慢。日常を忘れ一息つけるここだけの空間が味わえる。

住所 /山形県鶴岡市本町一丁目8-41

電話 /0235・24・1613 FAX / 0235・22・6934

営業時間 /11:30〜13:30、17:00〜22:00 定休日 /日曜日または月曜日